参考文献

第43回臨床栄養学会総会 講演

2021年10月2日

フコイダンの自律神経並びに腸内細菌叢のバランスに与える影響についての検討

○田濱弘継、田濱朝子

(株式会社元気ドットコム21)

嶋本文雄、小野幹太、笠岡昇平(修道大学 健康科学部)

【目的】

腸(特に小腸)は免疫力を支えるだけでなく、自律神経と共に腸内細菌叢が脳(心)にも多大な影響を与えていることも分かってきた。そこで、免疫力を支える全体像を、自律神経、腸内細菌、栄養(食事)のバランス、生活習慣について検討を行った。『ヌルヌルするものには免疫力を上げる』と言われているフコイダンを主に配合した2種のフコイダンについて、免疫力の全体像を意識して検討を行った。

【対象】

 20~40代の男性15人を、特に顕著な症状を持たない医療従事者15人を年齢順に並べ、年齢に偏りのないよう3つのグループに分け、2種のフコイダンの効果、影響を確認した。また、追試として翌年大学生男女9名、20~40代の男女11名、合計20名の協力を得て実験を行った。

【方法】

 実験を開始するに当たり、飲用開始直前の、1週間の食物摂取頻度調査(新FFQg)を行い、自律神経(TAS9、YKC)後、直ちに採血を行った。腸内細菌叢遺伝子検査用には事前に採便し、測定期間(次世代シーケンサー装置、サイキンソー)で測定を行った。3ヵ月後の1週間の食事摂取頻度調査を行った。この目的は、実験期間中の食事摂取内容の変化が実験に影響がないことを確認するためである。

【結果】

 自律神経測定結果から、自律神経のバランスが整い、ストレスの強くなる傾向があること。末梢血管を柔らかくすること等の傾向を示唆するデータが得られた。また、腸内細菌叢の遺伝子検査により、健康な方が対象だったためか、全体の傾向は確認できなかったものの、特に大腸がんに影響を与える数種の腸内細菌の改善の効果が確認された。また、週一回夜勤を伴う医療関係者の多くが抱える夜勤後の便秘の問題も改善傾向にあった。2種のフコイダンに、上記の2つの項目で免疫学上良い値に収束する可能性が示唆されたため、翌年同じ時期に人数を増やして(1種に絞って計20人)、追試を行った。その結果、良い値に収束する傾向を確認できた。